6■ブランクの日記その1「タンタラス始動」
久しぶりに、ボスからの招集がかかった。
劇団ではない、「盗賊団タンタラス」としての、任務の告知。
劇場艇プリマビスタの船影が西日に揺らめく、リンドブルム郊外の夕方――。
一同に会した俺達タンタラスのメンバーを前に、ボスが発した第一声を聞いたとき、俺はこの任務を降りるぜと喉の奥まで出かかった。
「ジタンがR・Sに囚われた」――。
ジタンは、世界最大のヒュージマテリアを盗み出すため、エスタの裏オークションに潜入していたはずだ。
何の因果で、怪しげな人身売買組織にとっ捕まったんだ?
あの単純ストレート猿野郎、後先考えずに行動するから、俺達に尻ぬぐいが回ってくる。
「・・・タンタラス内では、ボスの言うことは絶対の鉄則だが、イマイチ気が乗らねえ仕事(ヤマ)だな」
睨めつけるようにふっかけると、穏健派のマーカスが仲裁に入る。
「兄貴、ジタンさんはオレ達の仲間っすよ! 助けに行くのが筋ってもんじゃないっすか!」
思った通りの反応だ。そこで、俺も、マーカスが予想しているであろう返事を返した。
「ヤマなら惜しみなく働かせてもらうぜ。けどよ、「救出」ってのは仕事じゃねえ。行くなら有志を募りな」
ボスの瞳がゴーグルの向こう側で、愉快そうな光をたたえたように感じた。
「ブランクよぉ、突っ張るのもほどほどにしておきな。一番ジタンの奴を助けたいって思ってるのは、てめえじゃねえのか?」
紅一点のルビィが、呆れたように補足した。
「素直やないなあ。仕事やなく、趣味で行くっちゅうんやったら、ええんやろ? ほんなら、うちが、有志募ったるで」
シナがルビィの台詞に続けた。
「栄えある『ジタンさん救出作戦』メンバーの、第一志願者は・・・」
その場に居合わせたタンタラス団の全員が、一斉に見事なタイミングで、俺のことを指さした。
「・・・・・・・・・」
「沈黙は、了承の意味やて解釈すんで、ブランク?」
ルビィがにっこりとウィンクした。
こうして、俺の意志なぞお構い無しに、ジタン救出作戦が開始されたのだった。
・・・・・・こいつら全員、いつかアレクサンドリアの内海に沈めてやる!
<FF9のプレイを開始したため、
やっと主要なFF9キャラを出せるようになりました(^^)
「タンタラス団」の存在そのものが凄くツボなので、
ワクワクしながら書いてます(笑)。>
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