Bar蛇骨ファイル  −File 12〜14−


■File 12   セルジュの日記(日記帳)

   7月6日(木) すっきりしない曇り・・・
 うーん、どういうわけか、この頃、フェイトがちょっかいかけてくるんだよね。
 僕には、カーシュだけなのに・・・って、何書いてるんだ!
 でも、仕事は辛いこともあるけど、カーシュがいてくれるから、なんだか安心して働ける。
 もっと仕事に専念して、故郷の母さんにいっぱい仕送りしなくちゃ・・・。
 この店の従業員寮に厄介になってるから、寮費も払わなくちゃなんないし・・・。
 ああ、もう午前3時だ。いつも仕事が終わるのは1時まわってるからな、すぐに深夜にな
   <この日の日記は、不自然に途切れている>




■File 13   フェイトの記録(イシトに渡されたもの。フェイトが自らの衣服に仕掛けた、小型携帯用盗聴器による。音質悪し)
 トントン。
 セルジュ、起きてるか?
 あ・・・っ、うん、日記書いてたとこ・・・。
   <・・・雑音・・・>
 ・・・タトタトタ。
 ガチャ。
 あれ、フェイト、どうしたの、こんな夜更けに?
 カーシュが夜這いに来たと思ったか?
 な・・・っ、何言ってるんだよ・・・っ!
 ふ、すぐに真っ赤になるんだな、お前。
 わ、わざわざ、からかいに来たの?
 そうじゃない。俺はまだホストとして新米だからな・・・色々教えてもらいたくてな。早く稼いで、こんな店とっとと出ちまいたいんだ。
 あ・・・そうだったんだ。僕にわかることなら、何でも答えるよ? あ、良かったら、入る?
   <・・・雑音・・・>
 ・・・あ、邪魔させてもらう。
 ガチャ。
 トタトタ・・・。
 ええっと・・・狭いけど、ベッドにでも座って。
 トサッ。トスッ。
 ええと、何を教えればいいかなあ?
 ・・・そうだな・・・お前の好みのタイプ。
 な、何だよ急にっ。そんなの、関係ないだろ?
 おおありなんだよ。・・・実は・・・お前のことが好きなんだ・・・。
 え・・・ええええええええ!?
 そ、そんなに驚くなよ。隣の部屋に聞こえるだろ?
 だ、だって・・・カーシュだけだと思ってた、そんな変なヒト。
 変とは心外だな。このまま・・・襲ったっていいんだがな・・・。
 キシ・・・。
 ちょ・・・フェイト! 待ってよ、本気!? まさか、君が夜這いに来・・・
   <・・・雑音・・・>
 ・・・お前を狙ってるヤツ、多いってこと知らないのか?
 で、でも、カーシュ以外にそんなコト言ってくる人、いなかったよ?
 それは・・・俺が潰してるからだ・・・。
 フェイト・・・うそ・・・。
 嘘じゃない・・・。
 フェ・・・ど、どうしたんだよ・・・そんな目で僕を見・・・
 セルジュ・・・淋しいんだ・・・こんな右も左もわからん店に、いきなりぶち込まれて・・・一度だけでいいから・・・。
 フェイト・・・。
   <・・・雑音(少し長め)・・・>




■File 14   イシトの調査記録(速記文字)
7月7日(金)
 昨夜フェイトがセルジュとの肉体交渉に至った際の記録テープを、フェイトから入手。
 良い仕事ぶり。脅すのではなく「淋しい」といって口説き落とす辺り、セルジュの性格を心得ている。
 マイクの性能悪し。雑音が多すぎる。
 彼がセルジュから聞き出した情報は以下の通り。
   カーシュも売上の上前をはねている。←人気ホストとなってしまったセルジュとデートするためには、客としてセルジュを「指名」し、バー蛇骨に指名料を支払わねばならない。そのために資金が必要だったようだ。
   ルチアナは、カーシュその他からの、セルジュに対する指名料を着服。
 任務の期限が迫っている。
 以後、フェイトの動向に注意!
   追記 セルジュがフェイトと関係を持ったことを、カーシュに知られたようだ。
       セルジュとカーシュの間が少々、険悪になりつつある。
       任務のためとはいえ、申し訳ないことをした。
       何とか、フォローできれば良いが・・・。


                                  
−「File 15」に続く−



ええと、次が完結編です。同時にUPしてます。